快斗君の場合
公開 2018年12月11日
頭蓋骨縫合早期癒合症
2歳時からのLS-CC松葉杖訓練での取り組み
☆ 生育歴
在胎41週5日で出産。出生体重3052g。
陣痛が来なかった為に陣痛促進剤により自然分娩。
出産にはトラブルはありませんでしたが、羊水が肺に入ってしまい呼吸困難となり、産まれてすぐに保育器に入りました。入院期間は10日間。
1ヶ月に至る以前に、発育が悪いと感じ、1ヶ月検診にて出生病院にて相談。
4ヶ月時に、大学病院を受診し、様々な検査を受け、6ヶ月時に頭蓋骨早期縫合癒合症の診断を受ける。その他にも、前頭葉の萎縮・脳梁が薄い・脳質拡大等とも診察結果として聞きました。
1歳から療育施設でPT訓練を受ける。首もすわらなかった。
1歳6ヶ月時、三角頭蓋の開頭手術を受ける。術後、間もなく首がすわる。えんこ座りも可能となる。
1歳9ヶ月に、肘這いを始める。
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∞ 2歳9ヶ月時に、訓練会に参加されました。
現症:寝返り・肘這いを行う。左手を使って、左側臥位から座位となる。えんこ座り。時には、腹臥位から尻を持ち上げて正座となることもある。
関節可動域:特に問題となる箇所は無い。外反扁平足。
訓練内容:腹臥位からの座り方を主として教える・正座を中心としての座位で、上肢を床に支える事を教える。
→ 2週間後
腹臥位からの座位を覚えつつある。
家庭で四つ這い位を行うようになっているとのこと。
訓練に、床からの立ち上がりを加える。
→ 2ヶ月後
腹臥位から自力で正座となり、時には両手で手遊びをしている。
松葉杖訓練に入る。SLB着用。松葉進度1。
→ 3ヶ月後
松葉進度2となる。
→ 8ヶ月後
家庭で四つ這いを始めたとのこと。
→ 10ヶ月後
四つ這いを何処でもよく行うようになる。
→ 1年4ヶ月後
松葉進度3となる。
→ 1年6ヶ月後
家庭で物に捕まり立ち上がるようになったとのこと。
→ 1年7ヶ月後
松葉進度4となる。
→ 2年1ヶ月後
階段昇降訓練に入る。階段昇降の訓練の方法は、片手で手摺りにつかまり、他の手を介助します。そして1段ずつ昇降します。これを左右共に行う。
→ 2年6ヶ月後
歩行器歩行訓練を松葉杖歩行と並行して行う。
→ 2年6ヶ月2週間後
歩行器を一人で押して、10m程歩く。
→ 3年後
特別支援学校入学。
→ 3年4ヶ月後
独歩訓練に入る。
→ 5年2ヶ月後
持ち込み立位から3歩の独歩を行う。
→ 7年10ヶ月後
歩行器で良く歩く。持ち込み立位から5~10歩の独歩を行う。
→ 9年後
SLB着用で、立たせると良く歩くようになる。距離は100㍍以上。
→ 9年7か月後
床からの立ち上がり練習が、容易にできるようになる。
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◎ これまでの経過を振り返って・・・
家庭で四つ這いを開始した時期の話として・・
PT訓練を受けている施設の医師に、最近の息子の様子を 尋ねられたので 、「四つ這いが3歩くらいできるようになりました。」と伝えたところ、「このこは四つ這いまでしかできない子です。立って歩くことはできないでしょう。」と言われました。何も息子に触りもせずに親の話だけを聞いてそう言われたのです。
医療機関や療育施設の医師の役割は高く、利用者に大きな影響を与えています。そのような医師の発言は、慎重に思いやりを持った発言を願いたいものです。言葉を受けた保護者や本人は、どれ程の傷として心に残るのか・・?
快斗君とお会いした時、側臥位から起き上がり座位となりました。このような身体の起こし方は、誰かが教えない限り行いません。何故にこのような指導を行うのか? その結果として、四つ這いを行わずにいざり這いを行うようになるのです。
ゆっくりではあるが、運動機能が伸びています。独歩の訓練に入って、未だ独歩に至っていませんが、保護者と本人と共に、独歩を目標に努力を続けていきます。
・ 訓練を開始して9年、長い歳であったように想えるし、短かったようにも感じますが、独歩に至りました。
今後は、どれ程に応用歩行が可能となるのだろうか?
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製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美