桃花ちゃんの場合
 
 公開 2018年08月01日
 低酸素脳症に伴う後遺症による運動発達遅滞
 4歳4か月からのLS-CC松葉杖訓練での取り組み

☆ 生育歴
 早期破水(高位破水)の為に、在胎39週1日の2550gで出産。新生児仮死(アプガースコア1分・6点、5分・8点)
 低酸素脳症の疑い有り。
 生後5か月で首がすわる。
 生後7か月でウエスト症候群発症。ホルモン大量投与(ACTH)とてんかん薬投薬開始。
 生後9か月で寝返りを開始。
1歳2か月より、PT・OTの訓練開始。
 2歳4か月で座るようになる。
 3歳で腹這いを開始。
 4歳で、物につかまらせれば立っているようになる。
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∞ 4歳4か月で訓練会に参加されました。
 寝返りと腹這いは行う。自分で座ることも可能。横座りや長坐位となる。
 四つ這いは行わない。
 立たせても下肢の支持性はない。
 関節可動域:足関節に動きの制限がある。ハムストリングが硬い。
 訓練内容:全身のストレッチ・LSでの立位・クローラーでの手歩き
 すたびらいざを貸し出す。LS2度
→ 1か月後
SLBと松葉杖とクローラーを貸し出す。
 松葉杖訓練を開始。松葉進度1。
 尻這い(いざり這い)を開始。
→ 3か月後
・ 今まで通っていた療育施設の医師の発言。
 「同じ脳性麻痺児でも同じ土俵に立たせちゃダメ。桃花ちゃんは緩い子なのです。」
 「生まれつきの遺伝子異常なのか形成異常なのか股関節を受ける臼蓋が小さいし、成長しないのです。筋切りではなく骨切り術を将来的にします」 
 「このまま装具(スワッシュ)を24時間つけて6歳まで様子を見ます」
 「車いすではだめなの?お母さんはこの子に何をしたいの?歩かせたいの?」
・ 他の医師の見解。
 「股関節には問題有りません。LS-CC松葉杖訓練法の行う指導をどんどん行ってください。問題が有るときにはまた診察に来てください。」
→ 5か月後
 訓練と思われる物全てに拒否を行い、全く何もできなくなる。
 机を前にLSでの立位や、その他できることを行い、訓練らしき雰囲気を子どもに与え無いようにする。
 尻這いが速く行えるようになる。
→ 8か月後
 ストレッチや坐位までの訓練は行わせる。
 気分が向けば交互性有る四つ這いを行うようになる。
 立位や歩行訓練が、若干行えるようになる。
→ 11か月後
 交互性有る四つ這いを良く行うようになる。
→ 1年1か月後
 物につかまり立ち上がるようになる。そして片手でつかまり、他の手で遊んでいる。
→ 1年5ヶ月後
 ごまかし、だまし、両手つなぎで、介助歩行が少しできた。
 この1年余り、機能訓練や歩行訓練を行わせてもらえない。
 訓練が行えないのであれば、運動機能は改善しないのか?
 この子のようなケースでは、前向きの治療方針が指導続けられていれば、自己の興味の拡大と共に改善していくと考えています。
→→ その2週間後
 少しであるが、歩行器での歩行練習ができた!
 壊れ物に触る感覚で、丁寧に指導を行わないと、何時気分を害して指導を拒否することとなるのか? だからと言って、指導を止めたり、安易な指導に移っては改善できないのだが…
※ 歩行器=ここで言う歩行器は、通常から見れば特殊な歩行器です。ハンドル型で、押して使用します。前輪は何の抵抗も無い固定輪。後輪は、方向が自由に向くことのできるキャスター。クロコダイル(歩行器の一種)を使用すれば、同じ様な使い方が可能です。クロコダイルをPCWと同じように使用している時、後方の車輪の抵抗を外して自由に動くようにする。前輪は動きを抑制している装置を外し、キャスター用の動きが可能とする。押し部の高さは、子どもの乳頭部とする。
→ 1年8ヶ月後
 家庭でソファーにつかまり立ち上がり、その背もたれに沿って伝い歩きを始めたとのこと。
→ 1年11カ月後
 家庭の都合で、トレーニングがあまりできなかったようだが、歩行器を一人で押して歩くようになる!
 物に衝突することは避けられないが…。
→ 2年5カ月後
 お母さんからのメール連絡から・・
 4月から支援学校に入学予定だったが、コロナの影響で入学もできずにやっと学校が始まった!
 学校での歩行介助法が心配だったが、行き返りの廊下100m程の距離を介助での独歩歩行練習を兼ねて行なってもらえるとの事!
 トイレも同様に、介助歩行をやってもらえると聞き、安心しました。
→→ その2週刊後
 お母さんからのメール・・・
 支援学校で保護者の希望するように独歩練習ができると期待したが、実際の独歩の様子を見て驚いた。介助量が多くて、転ばないように支えている。介助歩行では良くないと考え、歩行器歩行に切り替えてもらった。
→ 2年7カ月後
 お母さんからのメール・・・
 持ち込み立位から数十メートルの独歩を行う!
 子どもの肩を常にタッピングするように刺激を与え続ける。身体に刺激が来ている間は、見守ってもらっていると感じて安心して歩けるのでは?
→ 2年8カ月後
 コロナの影響で会うことができていなかったが、6カ月ぶりに会うことができた!
 ずいぶんとわがままになっている。
 床からの立ち上がりは軽い介助でできそうだが、久しぶりに会ったためなのか行なわない。
 素足では立位バランスも歩行バランスも悪く、独歩はできない。下肢装具を履くと独歩を10m程行うが、立ち止まる事はできずに、止まると後方に倒れる。
→ 2年10カ月後
 階段昇降練習に入る。
 昇りも降りも嫌がることも無く、練習ができた! 初めての練習としてはできすぎなのではないかと感じた?
→ 2年11カ月後
 持ち込み立位から20mから30m程独歩を行うようになる!
 床からの立ち上がり方はうまくなっているが、立ち上がった時に重心が後方となっている。
→→ その1週間後
 素足でもきれいに足裏が床に着くので(土踏まずもきれいにできつつある)…! SLBをブーツ型に変えてみる。
→→ 更に1週間後
 先週、支柱付きSLBを仮のブーツ型装具に手直しをしたが、支柱付きのSLBでなくても、独歩が可能と思える!
 床等から立ち上がりやすくなっているはずだが、左右のブレが無かった装具からブレが有る装具に代わったので、立ち上がる際にブレをどうしようもないようで上手くいかない。慣れるまで練習をしなければならないが……
→ 3年1カ月後
 メールでの連絡! コロナ騒動によって、訓練指導も合う事もできていない。
 〝先生、室内を裸足で歩けるようになりました! 部屋の隅にダイニングテーブルを置いてそこでつかまり立ちし、反対側の窓辺まで歩き(約7・8m)、窓を開くと外の景色が見れると言う楽しみを知ったようです。〟
 これからの進歩は、歩く事や立ち上がる事に対して、自信を持つだけで良いのでは…
→ 3年3カ月後
 素足でもって床の上に立ち上がれるようになった! 下肢装具を履いていては、どうなのか? 確かめる事ができていません。
→ 3年5カ月後
 素足で床から立ち上がり、独歩を行う!
 下肢装具を履いての独歩が、ずいぶんと安定した!
 階段昇降や坂道昇降、その他の応用歩行を獲得する段階に入った!
→ 4年後
 裸足でも装具着用でも、床から一人で立ち上がり、屋内外を独歩するようになる!
 独歩をするが、見守りが必要か?
 応用歩行と、「 マトモ 」の指導を行う。
→ 4年3カ月後
 独歩も安定してきたためか、歩いたりしている際に目についた事に注意をひかれ、人の真似や動きの真似をするようになった!
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◎ 指導する者からの期待と希望
・ 訓練開始8か月・・桃花チャンは、独歩すると想われるお子さんです。
・ 自分の思うようにいろんな事を行わせてもらえずに、心が崩れているのかも知れませんが、いずれ独歩を行うと信じています。だからこのままこの訓練を継続する予定です。
・ 長いこと積極的な指導は拒否されていたが、少しは指導を受け入れてくれるようになったのか?
 何時、気分を害する事となるのかわからず、割れ物に触る感じで…
・ やっとと言えるのか、歩行の目途がついたように思えます。
・ 支援学校の歩行介助が適切に行えれば、間もなく独歩に至るのでは?
・ 独歩が可能になりつつあります! 間もなく身体に触っていなくても一人で歩くようになるのでは?
・ 親の見立てと実際は異なる事がわかった。どうしても親の見立てでは、甘い判断となっているようだが・・・
・ 途中、嫌がるような行為によって練習ができない時期もあったが、独歩が可能になった模様。
 後方に倒れる事が怖いが、独歩を獲得したと思えます。練習を続ければ、後方に倒れる事も無くなるのでは…と期待しています。
 残すは床からの立ち上がり・・・
・ 3年5カ月がかかったが、独歩を獲得したと思えます。残すは応用歩行のみ。
 てんかんも有るので、重責発作が起きない事を願うだけです。
・ 運動療法治療から、実践の社会での生活を学ぶ時期が来たようです!
 行動を学ぶ事から、作業やADLをしっかりと学ぶ時期となったようです!

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  製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美